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私たちのCASE紹介

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遠洋・近海カツオ漁 明神水産(株)の場合

こんな声もよく耳にします。
「うまくいってる船は特別なのさ。ウチには同じことなんかできないよ」

特別なことなんか、何もしてません。
ただ、少しずつ、できる範囲で工夫はします。
当たり前ですよね、仕事なんだから。
明神水産(株) 明神照男社長
明神水産(株)
明神照男社長

新規事業なんてものじゃありません。
どちらかというと、「窮余の索」だったんですよ。

高知の明神水産といえば、カツオの本場・高知はもとより全国でも指折りの漁業会社。カツオ漁で15億円、さらに自社工場で製造・販売している『藁焼き鰹たたき』で16億円もの年商をあげている優良企業です。というと、「商才のある人がやっている、特別の会社だろう」と思うかもしれません。しかし、社長の明神照男さんは、15歳から27年間船に乗り続けていた生粋の漁師。素朴でやわらかな物腰からは、商売気などみじんも感じられません。
「昔は、ウチより大きな会社がこのあたりにもたくさんありました。私らは少しも特別な会社じゃなかったんですよ」

明神社長はおだやかに言います。では、この会社がここまで大きくなれた理由はどこにあるのでしょう?
「う-ん。特別なことをしたわけではないんですがねぇ。昭和50年くらいから漁業全般が下り坂になって、『このままじゃいかんなあ』と、会社をいっしょにやってる兄弟たちと話をしているうちに、昔、母親の生家がカツオ節工場を営んでいたのを思い出しましてね。カツオの加工をやったらどうかと、最初はほんとの手作業でたたきをつくって、通信販売みたいなことを始めたんですよ。それが想像以上に売れてしまったんですよねぇ」

やがて近代的な工場を持ち、積極的な拡販で飛躍的な成長を記録することになるとは、だれも想像すらしていなかったとのこと。えてして新しいこととは、こんな何でもないことから始まるものかもしれません。

小さな工夫の積み重ねが、大きな差になるのです。
あとは海で全力を尽くすだけです

さらに明神水産は、本業のカツオ漁でも、何度も日本一の水揚げ高を記録しています。そしてこちらのほうも、社長曰く「特別なことはしていない」らしいのです。
「ただひとつあるとすれば、船への投資を惜しまないことですかね。私自身、足の速い船が好きなもんで、特にエンジンはいいものを積んでいます。ほかの船より遅くに港を出ても、ほかの船より先に漁場へ着きますよ。でも、それはそんなに大きな違いじゃないと思います。いくら速い船でも、それを漁に結びつけるのは船頭はじめ乗組員たちのウデと頑張りですからね」

この頑張りのもとになっているひとつが、他社にくらべて格段に高い給与でしょう。中学を出て船に乗っても、年収で500万円程度を手にできます。

「会社が儲からなくても、乗組員が満足してくれれば、と思います。おかげで船を降りる者はめったにいません。若者が毎年数人乗ってくるので、乗員の平均年齢は38歳くらい。高齢化の心配はしていません」

高い給与を出すには、常に一定以上の水揚げを維持する必要があります。なぜ明神水産にはそれが可能なのでしょうか?
「いい船をつくって、いい道具を積んで、あとは全力を尽くすだけです。水揚げが少ないのは恥だ、という感覚をみんなが持っているのもありますかね。今日取れなければ、明日頑張ろうでは駄目で今日を頑張る。そこそこで満足せずに、1回でも多く漁をしよう。何がどうというのでなく、そんなちっちゃな頑張りの積み重ねが、1年を通してみると大きな差になる気がします」

都会から来た若者も、船に乗ってます。

話をうかがっていると、水揚げ高を左右するのは、漁労長など幹部の『前向きさ』にあるという印象を受けます。明神水産では社長の兄弟や子息が幹部を務めており、だれもが『経営者としての責任』を強く持っているのです。それが『もう少し頑張ろう』『この漁では足りないから明日も出よう』という前向きさにつながり、水揚げも増える。そしてこうした活気のある船には、今どきの若者たちだって乗りたがるものなのです。
「雑誌かなにかでウチのことを知って、東京あたりの若者が『ぜひ乗せてくれ』とやってきましたよ。どうなることかと半信半疑で乗せてみましたが、これが結構頑張ってます。彼らを見てると、漁業の未来も捨てたもんじゃないと思います」

後継者不足を嘆くのでなく、若者にとって魅力のある漁業を考えてみる。ほんの小さな工夫から、すべてがプラスの方向へ回り出すかもしれないのです。

もちろん運もあるけど、
やってみないことには何も起こらんじゃないですか。

明神水産(株)

所在地: 高知県幡多郡佐賀町黒潮1番地
電話番号: 0880-55-2132・3808
事業内容: 遠洋・近海カツオ漁(186トン船、168トン船、88トン船各1隻所有)、およぴ水産物の加工販売
従業員数: 132名(うち乗組員72名、加工部門60名)
創業: 昭和32年
設立: 昭和48年
年商: 31億円(平成9年度実績)