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漁業の紹介

日本漁業を知る

「これまで」を知る3つのキーワード

1. 遠洋漁業:排他的経済水域(Exclusive Economic Zone)

他国に邪魔されず、漁業や発掘などを自由に行うことができる水域

海上保安庁「日本の領海等概念図」
出典:「日本の領海等概念図」(海上保安庁)

排他的経済水域(EEZ)は、自国の海岸線から200海里(約370km)範囲のことで、その国にはEEZ内の水産資源・鉱物資源を探査、開発する権利があります。
近年、小笠原諸島の西之島新島が噴火活動により拡大したことで日本のEEZが約50平方キロメートル広がるといわれています。

EEZにより、漁場を失った日本の遠洋漁業

世界中の海はつながっています。17世紀、オランダの国際法学者バインケルスフークが、当時の軍艦の大砲が届く範囲の3海里(約5.6km)を領海と定める「着弾距離説」を主張します。
それ以来、海についての交渉が重ねられてきましたが、1976年に欧米が中心となって「200海里漁業水域」を設定。それまで「広い公海、狭い領海」を主張し、遠洋漁業の漁獲量を伸ばし続けてきた日本にとって、これはたいへん不利な出来事でした。このころから日本の遠洋漁業は減少に転じました。

外務省「日本の各種海域概念図」
出典:「日本の各種海域概念図」(外務省)

国土の12倍以上のEEZを有する「海洋大国」

各国の排他的経済⽔域⾯積等
出典:「平成24年度水産白書」

四方を海に囲まれ6,000以上の島々からなる日本は、国土の12倍以上にあたる約447万平方キロメートルのEEZを有しています。
日本のEEZの面積は世界第6位、まさに海洋大国といえます。
日本の領海および排他的経済水域には、世界の全海洋生物の14.6%にあたる3万3,629種もの海洋生物がいます。こうした海が日本の漁業を支えているのです。

2. 沖合漁業:地球規模で変化する海洋環境

消えたマイワシとスルメイカの豊漁

日本の周辺を含む北太平洋のマイワシ漁は1980年代初頭をピークにして、そこから急激に減少。日本の沖合漁業は大きな打撃を受けました。
一方、スルメイカの生産量は大きく増加したと報告されています。
こうした漁獲量の急激な変動は、エルニーニョ太平洋十年規模振動といった地球規模の環境変動が原因で、それにより稚魚が育たなくなったといわれています。
ペルー沖でエルニーニョが発生すると、湧昇流が弱まって餌となるプランクトンが減少し、それを食べるペルーカタクチイワシも減少すると考えられています。

エルニーニョ

太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象のこと。

太平洋⼗年規模振動

太平洋の海面水温にみられる、十年から数十年程度の不規則な周期をもつ変動。

湧昇流

海⽔が深層から表層に湧き上がる現象のこと

海水温上昇により漁場が変わる

海⾯⽔温の⻑期変化傾向(⽇本近海)(気象庁HP)
資料:「海面水温の長期変化傾向」(気象庁)

地球温暖化の影響と思われる海流の変化や海水温の上昇が続くと、回遊魚の漁場が変わるといわれています。
日本近海の2016年までのおよそ100年間にわたる海域平均海面水温(年平均)は、100年で1.09℃上昇しています。これは世界全体の平均海面水温の上昇率(100年で+0.53℃)よりも大きくなっています。
海水温の上昇によりサンマの漁場が北に移動し、2095年には日本周辺の漁場が大幅に縮小するという研究報告もあります。ただ、漁業資源などの変化については未解明な部分が多く、今後の研究成果が待たれています。

3. 沿岸漁業:進む高齢化と後継者不足

沿岸漁業は土地に根づいた地場産業

沿岸漁業は少人数、日帰り中心、小型船舶などで行われる「その土地の独自の地場産業」として、古くから日本の漁業を支えてきました。
養殖を含めると漁業全体の約4割を占め、漁業に従事する人の8割以上は沿岸漁業です。
大半は家族経営で行われており、とれる魚介類の種類も多種多様。季節に応じた漁を行い、漁法も漁場(地域)によって異なります。

「とる漁業」から「つくり育てる漁業」へシフトチェンジ

1980年代初めまで、沿岸漁業は「とる漁業」が中心でした。しかし平成に入ってからは、海の環境の変化や乱獲のために漁獲量が減少しました。
この反省から、現在では自然の力だけに頼らず、養殖場の設置などを進め、環境を保護しながら資源を回復させる漁業へのシフトチェンジが進んでいます。
こうした人の手による「つくり育てる漁業」は大きく分けると2種類あります。いけすで大きく成長させてから出荷する「養殖漁業」と、ある程度まで成長させてから海に放流し大きくなるのを待ってからとる「栽培漁業」です。

養殖漁業と栽培漁業

「養殖漁業」はたまごや稚魚から育て、いけすで大きく成長させてから、出荷します。「栽培漁業」は魚が最も弱い稚魚の時期に人の手で保護し、ある程度の大きさになるまで育ててから海に放流。大きくなるのを待ってからとります。1960年代に瀬戸内海で試験的に行われて成功したため、70年代後半から全国に広まりました。

高齢化と後継者不足の克服がカギ

沖合・遠洋漁業の漁業生産量が急激に縮小したことで、漁業全体に占める沿岸漁業の比率は高まっています。
そのため沿岸漁業が拡大したように見えますが、じつは一部の養殖業や大型定置網等を除き、近年は経営者も生産量も減っているのです。
また、漁業就業者の高齢化率(65歳以上)は35%で、全産業平均の10%を大きく上回っています。さらに、約14万人いる漁業就業者のうち、男性のおよそ半数は60歳以上と、高齢化が進んでいます。
新たな漁業就業者の減少や、漁業経営が厳しいために漁師の子が必ずしも漁業に就くとは限らなくなっていることも原因です。漁船の老朽化も問題です。
沿岸漁業では、経営者の減少と高齢化の同時進行を食い止めることが必要です。

営んだ漁業種類別漁業経営体数の変化
出典:平成26年度水産白書