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漁業の紹介

日本漁業を知る

「これから」を考える3つのキーワード

1. 海のチカラを引き出す、資源管理

魚は永久不滅の自然の食糧?

魚は自然の産物。海を上手に管理することができれば、魚は永久的に活用できる食料になります。
一方で、資源としての魚は、開発などによる環境破壊や乱獲など、人間活動のダメージを受けやすいこともあり、資源管理に対する取り組みの重要性が高まっています。

秋田県のハタハタ漁に見る「脱・危機」

しょっつる鍋で有名な秋田県のハタハタは、かつて秋田県の底びき網漁獲量の半分近くを占める重要な魚種でしたが、生産量が急速に減少し、ハタハタが秋田県でほぼとれなくなるところまでに追い込まれました。
そこで、秋田県の全漁業者が平成4(1992)年9月から3年間の全面禁漁を行うことで合意。沖合底びき網漁船を減らすとともに小型化し、また沿岸定置網と刺網の数を削減したほか、操業禁止区域も設けました。
さらに秋田県では、自主的に漁獲量を規制する制度によってハタハタを管理することにしました。
これにより、取り組み前は70トンしかなかった秋田県のハタハタの漁業生産量は、禁漁を解禁した直後の平成7(1995)年には143トンとなり、平成25(2013)年には1,509トンにまで回復しました。

⾼い評価を受けた⽇本の資源管理

ハタハタ⽇本海北部系群の漁獲量推移
ハタハタ⽇本海北部系群の漁獲量推移
出典:平成22年度水産白書

秋田県のハタハタ漁の例は、生態系の回復力が残っている状態であれば、適正な資源管理によって魚介類が生きるための環境や魚介類そのものの数を回復できることを証明しました。
日本の漁業者が古くから行ってきた、みんなで合意しながら地域で資源管理を行う方法は、小規模な漁業者が多数存在する地域での有効な方法として、国際的にも高い評価を受けています。

2. 日本固有の魚食文化の継承

古くから日本の食生活を支えてきた魚

日本の海は広く豊かで、多くの種類の魚がとれる世界的にも恵まれた海域です。
黒潮と親潮がぶつかり合う三陸沖の漁場には、サバやサンマ、マイワシなどプランクトンをエサとする魚が集まります。すると、それらを食べにカツオやマグロなどが回遊してきます。
漁獲量の8割を何種類の魚種で占めるかを比較すると、アイスランド5種類、ノルウェー7種類に対し、韓国は22種類、日本は18種類。日本人がいかにたくさんの種類の魚をとり、食べているかがわかります。
私たち日本人は昔から魚をおもなたんぱく質として利用してきました。現在でも動物性たんぱく質の1/3以上を魚介類からとっています。ふだんから栄養や機能に優れた魚をとる日本の食生活は、健康や長寿社会を担う重要な役割を果たしています。

郷土色豊かな食文化をもつ日本

日本の伝統的な食である「和食」がユネスコの世界無形文化遺産に登録されたことは、魚の鮮度や味を生かした郷土料理が全国各地に受け継がれていることと無関係ではありません。
魚を中心とした食生活の中で蓄積されてきた知恵や知識を総称する日本の「魚食文化」には、魚を食べるだけではなく、魚をとる技術、処理技術、目利き、加工・保存方法、調理道具や調理方法なども含まれます。
漁業は安定した食料の供給に欠かせない産業であるとともに、こうした日本の魚食文化を担う大事な産業なのです。

世界無形⽂化遺産

芸能や伝統⼯芸技術などの形のない⽂化で、⼟地の歴史や⽣活⾵習などと密接に関わっているものが対象。「和食」以外ではメキシコの伝統料理や地中海料理が⾷に関する世界無形⽂化遺産として認定されています。

多様な⿂介類が漁獲される⽇本周辺の漁場
多様な⿂介類が漁獲される⽇本周辺の漁場
出典:24年度水産白書

全漁獲量の8割を占める⿂種数
全漁獲量の8割を占める⿂種数
出典:平成25年度水産白書

OECD 加盟各国の動物性たんぱく質摂取量に占める⿂介類の割合(平成21(2009)年)
OECD 加盟各国の動物性たんぱく質摂取量に占める⿂介類の割合(平成21(2009)年)
出典:24年度水産白書

3. 未来を担う新しい漁師

若いチカラの台頭

近年、暮らし方や働き方についての価値観が多様化していることで、漁業就業が注目されています。
毎年2,000人前後が新たに漁業の世界に参入し、そのうちの約2/3が40歳未満の若い世代で占められています。都会でサラリーマンをしていた人が漁業へ転職する例も少なくありません。
全漁業就業者数に占める若い漁業就労者の割合も年々増える傾向にあり、後継者不足や高齢化が進む漁村地域にも新しい風が吹き始めています。

海外では、漁業は成長産業

海の資源管理に成功したアイスランド、ノルウェー、ニュージーランド、オーストラリア、韓国などでは、漁業は成長産業とされています。
ノルウェーでは国民の平均年収の2倍近くあるという収入の高さから、漁師は人気の職業です。
若い人たちが漁業に参加する機会が増えれば、日本の漁業も活気づくことでしょう。

国・県のサポート制度も充実

国・県のサポート制度も充実

若く新しい力を受け入れる地域は、専門的技術や知識をスムーズに身につけられるよう、さまざまな取り組みを進めています。
実践的な漁業技術や知識を教育し、即戦力となる漁業就業者を育成する漁業学校もその一つ。漁業に絞ったカリキュラムを組み、短い期間で戦力となる漁業者を育成しています。
漁業学校は北海道、静岡県、佐賀県、宮崎県にあり、寮などの設備も充実、他の都道府県からも広く学生を受け入れています。
国も平成25年度から漁業学校等で必要な知識や技術の習得に取り組む若者に対し資金を給付する事業を開始したほか、「漁業就業フェア」の開催や漁業体験などへの支援を通じて、新規漁業就業者の確保に努めています。

漁業就業者数の推移
漁業就業者数の推移
出典:平成27年度 水産白書

新規漁業就業者数の推移
新規漁業就業者数の推移
出典:平成27年度 水産白書