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まだある多彩な漁法

  すべての漁法は、沿岸からはじまった。
日本の海岸線は約3万5000キロメートル、点在する漁村は3500ヵ所。
それぞれの浜は、地形も気象条件も異なっている。
伝統の漁を受け継ぎ、工夫を凝らしてきた漁師たち。
日本全国の漁村には、その浜ごとに独自の沿岸漁法がある。
   
 

イカ釣り漁

  イカ類は光に集まる習性を持っている。 その習性を利用して釣る、主に夜の漁。
 
 漁場は、日本海が中心で、北海道、東北、北陸、山陰、九州の各地にイカ釣り漁がある。

  出港は夕方、10トン以下の船に1~3人が乗り込む。魚群探知機でイカの群れを発見。ライトを点灯。明かりの強さは漁場や船の大きさなどによって異なるが、20~180キロワット。家庭用の100ワットの電球なら200~1800個だ。最近は青色発光ダイオードもテストしながら導入中だ。イカが集まってきたら、疑似針を群れのいる深さまで降ろし、釣りあげる。昔は人手によっていたが、いまはほとんどが自動イカ釣り機を備えている。人の仕事は、甲板にあがったイカをサイズ別に箱に詰め、船艙に納めていくという流れだ。夜が明けはじめ、ライトの意味がなくなったら、仕事をやめて帰港。このとき魚艙がいっぱいになっていれば、最高というわけだ。

  イカにも多くの種類がある。沿岸ではマイカ=スルメイカ、ヤリイカ、アオリイカ他。

●イカ漁には、資源管理のための「休漁期」がある。毎年2月ないし3月から4月いっぱいまでの2~3ヵ月間を休漁する。時期は地域によって多少ちがう。
   
 

タコつぼ漁

  岩陰に身をひそめしがみつくタコ類の習性を知りタコの種類により工夫した漁法。
 
 漁場は、全国各地の岩礁地帯・砂地の広がる海で、年間を通じて行われている。

  小型の船で2人1組で行う漁。1人が舵を取り、1人がタコつぼを海中に投げ入れる。タコつぼは60個ほどで1セット、これを10~20セット仕掛け、順々に1日おきくらいに揚げに行き、タコが入っているかどうかを見る。昔のつぼは素焼きだったが、最近はコンクリートかプラスチック。中にはカニなどのエサを入れ、タコがかかるとフタが閉まる仕組みになっているのが最新式だ。

  タコつぼの口は海底に向くようにロープでセットされる。揚げるときタコは落ちずにしがみつく習性があるため、なかなか出てこない。揚げるときも2人組で、ローラーを使ってまき揚げていく。

  マダコはタコつぼ、小さなイイダコは小型のつぼやアカニシなどの貝殻を使うこともある。また大きなミズダコにはタコ箱と呼ばれる箱を使う。

  夏場は沿岸水域で、冬場はやや沖合で操業する。
   
 

カニかご漁

  かごに餌を入れ、ロープに連ねて海底に沈め、カニ類、エビ類、貝類などが入るのを待つのが、かご漁。
 
 漁場は、主に北海道から島根までの日本海沿岸だ。

 海底近くに生息するカニ、エビ、貝などをかごを使って採捕する漁。餌となるサンマやホッケをかごの中につるし、幹縄にかごをつるした枝糸をとりつけて、海中に投下する。水深100~500メートルではズワイガニ、水深800~1200メートルではベニズワイガニなど、狙うカニの種類や潮の流れ、水温のちがいによって、日本各地で工夫が凝らされている。ケガニ、ハナサキガニもこの漁法でとられている。

  漁の形態は、10~20トン級の小型船に5~7人で乗り組み1日操業でズワイガニを対象とする漁、20から100トンの中型船に7~12人で乗り組み3~5日操業でベニズワイを対象とする漁など、地域や対象種によりさまざまだ。

  カニが入っているかどうかは、かごを引き揚げてみなければわからないが、デリケートなカニを生きたまま捕獲できるのがこの漁法。また海底を荒らすことなく、かごに入ってきたカニだけを捕獲するので、環境にやさしい漁法といえる。日本だけではなく米国、ロシア、韓国、北朝鮮でも行われている漁法だ。

●全国各地で資源管理のための「禁漁期」が設けられている。時期は地域、カニの種類によってちがう。
   
 

採捕・採藻

  人の手によって貝類や海藻類をとるシンプルな漁。カギやカマを使うこともある。
 
 浜で、岩場で、道具を使ってとる。海底に潜ってとる「海女」・「海士」はスペシャリストだ。

  日本のみでなく、世界の沿岸地域でおそらく最も古い時代から行われていた漁だ。地域といわず、入江ごとに海の環境が異なるため、そこに育つ海藻や貝がちがう。その海の生きものに合わせて、漁のスタイルが発達した。

  単純な方法は、手を使ってとること。カギやカマなどのシンプルな道具を使うこともある。素潜りで海底のアワビやウニなどをとる漁法も各地にあり、女性の場合は「海女(あま)」、男性の場合は「海士(あま)」と呼ばれる。また、モリなどの道具を使う漁もある。

  アサリ漁は、「ケタ」と呼ばれるかご付きの熊手のような道具を人力で引いて、海底の砂を掘るようにして集める。通常1人で漁をすることが多いため、安全の問題などから、何人かが同じ漁場で行うなど、各地で対策がとられている。

  この漁でとれるのは、アワビ、トコブシ、サザエ、カキなどの貝類、ウニ、ナマコ、およびコンブ、ワカメ、テングサなど。

●全国各地で資源管理のための「禁漁期」が設けられている。年に50日だけ、1ヵ月だけという漁もある。資源保護のため、漁獲を許された漁業者しか行えない。
   
 
   
 
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