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研修生の体験談

研修生の体験談

「海の民学舎」一期生

京都府宮津市に昨年開講した「海の民学舎」は、漁師を育成するた めの機関。
1期生となる研修生たちが、漁師になるために必要なすべてを学び、そして自分がこれ から「漁師デビュー」する漁業を模索する日々を送っている。

海の民学舎の研修生たち。前職や年齢がバラバラでも同じ夢に向かっている同志と して結束は固い。

■プロフィールもさまざまな
研修生たちが漁師への道を目指す

定置網漁の実習風景。京都府では漁獲量の大半を占める重要な漁業。

昨年、書類審査、面接を経て入学した1期生となる研修生は現在8名。単身者を除 き用意された共同宿舎で生活している。
研修生のプロフィールは、さまざまだ。海の民学舎の運営事務局となる「京都府農林水 産技術センター 海洋センター」業務・普及指導部部長の永濱治夫さんは、「出身地は 京都府が3名。関西だけではなく関東からの入学生もいます」と語る。年齢も17歳から 40歳まで、前職もサラリーマン、飲食業、小学校教師とキャリアも異なる。

4月に入学、オリエンテーション、京都の水産についての座学や漁港などでの現場実 習を経て、研修生が体験する漁師への第一関門は入学1ヶ月後の「定置網実習」だ。
「実際に、漁船に乗って沖に出ます。荒れた波の中で船酔いに苦しんだり、漁師さんた ちと網を引き上げてみて、漁業の現場の大変さを実感した研修生も多かったようです」 と永濱さん。
また、漁師というと「水揚げのカッコいい風景」を思い浮かべがちだが、漁具作りや網 の修理といった地味な作業が多いことに「イメージが違う」と感じた研修生もいた。「 似たような作業の連続で、確かに地味な仕事ですが漁師にとっては、必要な基礎。研修 生たちも実際に漁業の現場での体験を重ねるたびに、大切な知識であると感じて、自覚 をもって一生懸命取り組んでいましたね」(永濱さん)

■じっくりと自分に合った
漁業を見つける経験ができる

はえ縄漁の実習。餌料曳きに乗船。

研修生たちは1年目の研修もほぼ終わりを迎え、2年目は宿舎を出て府内各地の漁村 に定住し将来、希望する漁業の現場で長期の実地研修を行う。
1年間を終えた研修生たちについて、永濱さんは「幅広い研修をしたことが、京都に定 住して漁業を行うことに向けて、役立っているのではないかと思います。1年間、いろ んな角度から学んだことで、最初に住みたいと思っていた地区には自分に合った漁業は ないことがわかり、別の地区を検討してみるなど、じっくりと考えるきっかけもあった ようです」と感想を述べる。

2年目の研修期間も「きめ細かく研修生と面談し、研修先の担当者にも聞き取りを行 って、ともに考え、必要があれば関係機関に相談するなど、引き続きしっかり研修生た ちのバックアップを続けていきます」と力強く語る。

■現場の声で将来が見えた
40代からでも遅くない

品質、味ともに最高級松葉ガニ「間人ガニ」の水揚げで知られる、京丹後市・間人 地区での底びき網漁実習。

研修生にとっても、海の民学舎は漁師を目指すうえで、有意義なステージとなった ようだ。
元飲食業の40代男性は 「サーフィンと釣りが趣味で、海のそばで仕事がしたいと思 い、漁師になりたいと思うようになりましたが、実際どんな漁があるのかわからなかっ たので、ここに入学しました」と語る。
海の民学舎での学びの日々を「ひととおりいろいろな漁法を体験し、現場の方々のお話 を伺うことで、方向性が見えてきました」と振り返る。

2年目は、はえ縄漁の研修を行うことに決めた。釣り好きの自分には「1匹ずつ釣 りあげるスタイル」が合っているだとわかったからだ。
少し心配だった自分の年齢について「漁師のみなさんが『40代からでも遅くはない。 大丈夫』と太鼓判を押してくれた」ことも大きな自信になったという。「1年で飯が食 える漁師になるようにあとはがんばるだけです」と意欲を燃やす。

そんな研修生たちに向けて永濱さんは「漁業はチームワーク。個人の漁師であった としても、仲間と情報交換しなければ成り立ちません。漁師が相手にしなければいけな いのは、海だけではないんです。地域でのコミュニケーションを通して、認められてこ そやっていける。陸での関わりも大切にして頑張ってほしいですね」とエールを送る。 そして「前職での経験があるからこそ、幅広い発想を持って漁業に取り組み、地域のリ ーダーとしての役割を担うようになってくれたら」と研修生たちの未来に期待している 。
京都の海でいきいきと輝く新たな漁師のデビューが楽しみだ。

※この記事は2016年2月に取材したものです。